日本でも今日(2021/11/16)から新しいデザインとなったPageSpeed Insightsリニューアル版を利用する事ができます。
今回は対象URLの最適化度合いを測定するLighthouseはそのままで、測定結果の見え方が従来より大幅に変わりました。これは現在Googleがサイト運営者に対応を求めるCore Web Vitals(コアウェブバイタル)やページエクスペリエンスと関係があります。
Lighthouseは今回は違いますが、実際には定期的にバージョンが変更されており、皆さんがスコアと呼ぶ数値もそれに伴い頻繁に前後します。表示速度に大きな変更がなくてもスコアはLighthouseの仕様変更によって変わります。
国内外から寄せられる、スコアに対する誤解を払拭するリニューアル
従来まで、そしてCore Web Vitals(コアウェブバイタル)が話題となってもPageSpeed Insightsの結果画面には先ず最初に対象URLのLighthouseによるシミュレーション値であるラボデータを算出基準としたスコアが表示されていました。

SEOに影響しないラボデータの情報が最上部に表示され、SEOに影響するフィールドデータとオリジンサマリが二段目に表示されるというレイアウトでした。またスコアは表示速度を表すという誤った解釈もあり、これまでずっとスコアが低ければサイトは遅いという判断をされてしまっていました。
スコアはページの最適化度合いを表すもので、表示速度とはまた別です。ウェブサイト高速化には様々な手法があり、例えばスコアを改善する事のないまま表示速度や体感速度を改善する手法もあります。
そのため過去には表示速度が高速であるにも関わらず、スコアが低いだけで高速化を依頼するという事例も実際にありました。
もちろん対象ページの最適化という側面では高速なサイトを更にサイト構成を最適化する事で大幅な表示速度の改善は見込まれませんが、サイト上の無駄を省くことには繋がり、結果としてデータ転送量を削減する事で通信量によるデータセンター及び通信網の負荷を低減し、SDGsに繋がるという考え方もあります。
高速化や最適化を実施すると当初1ページの通信量が10MBあった場合、8MBの無駄を省いた・・・という事例もあります。
さておき、今回のリニューアルでは今まで最上部に表示されていたスコアを下部へ配置し、SEOに影響する、そしてGoogleがサイト運営者に最も意識してもらいたい指標であるフィールドデータとオリジンサマリを最上部へ持ってきたのが印象的です。

スコアが低くてもフィールドデータは良好になる事がある
Amazon.co.jpのトップページを例えにしますと、実際に測定していただくと分かりやすいのですがモバイルスコアは70前後となり、下記の様な改善推奨項目が表示されます。ただフィールドデータは合格と表示されています。

改善できる項目は必ずしも全て改善しなければSEO上駄目という訳ではありません。たまに誤解されている方を見かけます。そもそもサイト設計上根本的な部分を対策しないと改善できない箇所もあります。そのためウェブ制作者以外がいくら頑張っても対応できない箇所はあるものです。
つまりCore Web Vitals(コアウェブバイタル)の評価としてはスコアは70前後で改善できる項目はあるものの、十分SEO対策としての高速化は実施できている、という事になります。表示速度をここから先まで改善してもSEO上の評価は変わらないかもしれません。
ただし何か指摘され続けるよりも指摘が少ない方が良いとお考えの場合は更に投資して改善するのも良いですが、気分的な部分の話にもなってくるため費用対効果は冷静に検討される事をおすすめします。
引き続きCore Web Vitals対策は重要なので合格ラインを目指しましょう
スコアの改善とCore Web Vitalsの改善、どちらを先にやるべき?と聞かれたらCore Web Vitals(コアウェブバイタル)の改善と回答します。実際CWVが良好か不良かによって検索順位への影響があるため、スコアの改善はCWV対策の後でも十分です。
またCWV対策を行えば対策次第ではスコアも改善する場合がほとんどです。
もし高速化したいサイトにフィールドデータ又はオリジンサマリのデータが不足していれば、Chromeユーザーからの閲覧数を増やす取り組みを行ってください。この場合はどうしてもラボデータ=スコア重視の対策になってしまいますが、あまり無理して最大値を目指さなくてもSEO上は大丈夫と判断される可能性があります。