WordPresss高速化をご依頼いただくと同時にVPS構築運用に関するお問い合わせもたまにいただきます。VPSは確かに良いスペックを選べばレンタルサーバー以上のパフォーマンスを発揮できますが、プラン・スペック変更ではレンタルサーバーのプラン変更みたいに簡単ではないのでそういった部分も考慮して検討が必要です。
VPS・クラウドにおけるプラン変更時の注意点
レンタルサーバーを使用している限りは意識することがありませんが、VPSの場合はいくつか解決すべき課題があります。
VPSの多くはプラン変更時にサーバー停止(サイト停止)が必要
VPSで現在のプランではアクセスを捌けなくなってしまう場合は上位プランへ変更する必要があります。このプラン変更にかかる時間は利用中のディスク容量やVPS提供会社毎に違いますが30分や1時間ほどサーバーを停止しなければなりません。サーバーが停止すると当然サイトも停止状態となります。
固定費は増えますが最初から将来必要なプランを見込んで1つ、2つ上のプランを契約する方法や、プラン変更を防ぐためにメディアファイルはオブジェクトストレージに保存。更にCDNを活用してサーバー負荷を減らす方法もあります。
コメントや注文情報が引き継がれない場合がある
サーバー停止を伴わないプラン変更の場合は最新のバックアップやスナップショットから新しいサーバーを構築する方法があります。その際にスナップショット作成時から新サーバー構築の間にサイト上に投稿されたコメントやECサイトの注文情報は新サーバーには引き継がれません。
VPSの中にはIPアドレスの付替に対応しているVPSもあり、そういったサービスを使うとプラン変更時に運用ドメイン全てのDNS変更の手間を省くことができます。
VPS・クラウドでプラン変更を無停止で行う方法
無停止スケール対応のサービスを使う(例:IDCFクラウド)
例えばIDCFクラウドの様にプラン変更をサーバー無停止で行えるサービスを利用すると上記のプラン変更時の手間を省くことができます。同社はHA構成が標準のため一般的なVPSよりも高く見えますがVPS2台契約分だと思えば大差はないものの、ディスク料金が別途かかります。
データベースサーバーを別にして2台構成にする
VPSを2台、またはVPSとマネージドデータベースをそれぞれ1台毎に契約してデータベースは常時オンラインの状態で利用する方法です。この方法だと新サーバー準備中に旧サーバーへデータ書き込みがあっても失われる事はありません。一般的に最も利用が多い構成です。
日本向けサイトかつ、割安で選ぶとすればConoHa VPSで構成するのが良いです。
フェイルオーバー(HA)構成で複数台を同期する
同一サービス内で複数サーバーを同期、またはマルチクラウドで同期して運用すると仮に1台が停止してもサイト利用者は他のサーバーに自動的にロードバランサーが割当るためサイト停止の影響を受けません。
一番割高になりますがGoogle CloudとAmazon AWSを組み合わせて使う方法や、国内外のVPSを組み合わせて構成する方法もあります。VPS・クラウドサービスであれば基本的にどのサービスでも好きな台数組み合わせられます。
毎月のサーバー代金に加えて2台で3万~5万程度のVPS管理費用がかかります。Google CloudやAWS等のクラウドだと設定も複雑なのでもっと毎月掛かる可能性があります。
VPS・クラウドへの移行を検討する時は将来の運用面も踏まえた検討を
他社へサーバー構築保守を委託するとサーバー1台に対して月額1万~2万くらいかかることがあります。
また単純に構築と言っても様々な構成があって特にWordPressを高速運用したりする場合は日本だとKUSANAGIが有名ですが英語圏だとEasyEngineやGridPane(英語圏ではKUSANAGIと同等に高速スタックとして紹介される事が多い)等様々な構築ツールが無料・有料で提供されてますので自ら構築するよりかこういった既存ツールを活用した方がお得な場合もあります。
また上記のWordPress運用に特化したサーバー構築ツールは多くの場合サブディレクトリに複数のWordPressをインストールして運用する前提では作られていません。マルチサイトを利用するか、個別にサーバーエンジニアに調整してもらう必要がありますのでご注意ください。
GridPaneは月額2万円弱のDeveloperプランをスキルシェアでは特別契約しておりご希望の方には格安で利用できるようにしています。ただサブディレクトリ活用前提の方が日本では多いのであまり日本での活用例はほとんどありません。ご希望でしたらご相談ください。